【BIPROGY株式会社さま】制度設計を止めないための選択|フリーランス活用で「ココツイ異動」を仕組み化

2026.04.30

左から、人的資本マネジメント部 人財未来デザイン室 室長 北村さま、弊社 高橋

BIPROGY株式会社さまは、SIを基盤に事業を展開しながら、成長領域へのシフトを進めるなかで、人材戦略の実行力をいかに高めるかを模索されていました。

そうした背景のもと、同社初のトライアルとなる手上げ型の異動施策「ココツイ異動」を、単なる取り組みにとどめず、制度として実装することに挑戦しました。推進体制を整える手段として選ばれたのが、フリーランスの活用でした。

今回は、制度立ち上げ時の課題やフリーランス活用に至った経緯、外部プロ人材と伴走することで得られた具体的な価値、そして初年度の現在地と次年度に向けた展望について、人的資本マネジメント部 人財戦略室 室長の北村さまにお話を伺いました。

フリーランス活用を選択した背景について

貴社のビジネスモデルと中期経営方針を教えてください

北村さま:当社の生業はSI(システムインテグレーション)で、お客さまのシステム導入や運用保守を通じて事業を支え、その対価として収益を上げるモデルを中心に展開してきました。

ただ、従来型のモデルだけでは成長に限界も見えてきており、お客さまと共に新しいビジネスを創出し、その先の社会課題の解決まで取り組む方向へ、事業の幅を広げていきたいと考えています。

その前提のもと、当社では「中期経営方針」として3カ年ごとに策定しており、来年度(2026年度)がその最終年度にあたります。注力領域を「コア事業」と「成長事業」に分け、投資・人材・技術を強化していく方針です。コア事業では5つの注力領域を定義し、成長事業では事業開発や市場開発、グローバル展開を推進しています。SIを基盤としつつも、いかに成長領域へシフトできるかを経営方針の軸としています。

どのような課題があったのですか?

北村さま:SIからの事業転換や新しいビジネスづくりを進めるなかで、社内がこれまで培ってきた知識・スキル・経験、いわゆる組織のケイパビリティだけでは対応しきれない領域が出てきていました。そのため、外部の視点や新しいやり方を取り入れながら、既存のやり方自体も変えていく必要があるという課題感がありました。

この認識自体はコロナ前からあり、キャリア採用を意識的に増やし始めたのは2020年頃からです。キャリア入社を増やすなかで、それだけでは補いきれない「より専門性が求められる領域」も明確になってきました。

なぜフリーランス活用という手段を選択したのですか?

北村さま:キャリア採用を進めることに加え、特に人事部門では専門性が必要な領域については、外部のプロフェッショナルに並走いただく方が合理的だと考えました。制度を変え、変化を生み出すにはスピード感も重要です。業務を切り出して外部とともに進めることが、コスト面・期間面の双方で合理的だと判断し、今回の取り組みに至りました。

また、以前から個人コンサルの方に参画いただき取組を進めた経験もあり、社員以外の形(業務委託など)で業務を切り出して並走する進め方の知見が蓄積されてきています。

大手企業である貴社がフリーランス活用に至った「きっかけ」は何でしたか?

北村さま:今回、人事プロパートナーズに依頼した背景としては、HajimariでCHROを務める有賀さんとのつながりが大きなきっかけでした。正直なところ、事前に業務を明確に設計し、切り出せていたわけではありませんでした。

以前からこうした仕組み自体は認識していましたが、人事コミュニティで有賀さんと話すなかで「こうした形態もある」と知りました。さらに、「人事戦略とは何か」「人事戦略を実行させるとはどういうことか」といったテーマについて知見を共有いただく機会もありました。

また、社内外のパートナー企業が集まる場でご登壇いただいたこともあり、そこで御社の取り組みや仕組みをより深く理解する機会がありました。

社内には潜在的なニーズはあったものの、具体化には至っていませんでしたが、有賀さんとの対話を通じて「このやり方もある」と腹落ちできたことが、今回の取り組みにつながっています。

「ココツイ異動」を制度として実装するまで

ココツイ異動は、何を実現するための施策ですか?

北村さま:今回の取り組みで実現したかったのは、上司承認不要の「手上げ」による個別異動を、社内の一つの制度・仕組みとして実装することです。

志を追求する人財を当社では「ココツイ人財」と呼んでいますが、そうした人財を増やすための異動施策として「ココツイ異動」という取組を25年度初めて実施しました。

時間をかければ社内だけでも作れなくはないのですが、取り組みが多いなかで、スピード感を持って形にしていく必要がありました。志を起点に、社員が部門をまたいで挑戦できる選択肢をつくることは、人的資本経営を進めるうえでも重要だと捉えています。

初年度はどこまでを「実装」と捉え、何を優先しましたか?

北村さま:初年度は、短期的な効果がすぐに出るタイプの施策ではない前提で、「新しい異動施策として企画し、まず実装できたこと」自体を大きな成果と捉えています。

制度としての骨格をつくり、説明会や現場マネジャーへの説明・調整に耐えうる形に整えることを優先しました。

認知度やエントリーといった定量的な成果は把握しつつも、社員が受け身・様子見になりやすい初年度に、まずはチャレンジを始め、仕組みとして動かし始めたこと自体が重要でした。

外部プロ人材にオファーする際、外せなかった条件は何でしたか?

北村さま:今回実現したいことは明確で、個別異動を制度として実装するための推進役が必要でした。そのため、人事コンサルの経験があり、異動施策をプロジェクトとして扱ってきた実績を持つなど、異動に関して実務的な肌感を備えている方であることを重視しました。

あわせて、当社はSIとしてチームで仕事をする文化があり、良くも悪くもウェットな部分や固有の風土があります。そうした質感をくみ取り、制度の中に落とし込めそうかどうかも外せない条件でした。

採用ではないため、完全なカルチャーフィットを求めたわけではありませんが、外部だからこそのドライなフィードバックも受けながら伴走できるかどうかを重視し、M.Nさまにお願いしました。

BIPROGY株式会社さまへ参画したフリーランス

M.Nさん47歳
人事コンサルティング会社での経験を経てフリーランスへ転身

約7年間人事コンサルティング会社に在籍し、広告、IT、製薬、化学品、商社、金融、不動産、急成長ベンチャー企業などの企業において、約20社ほど人事制度改革を担当。また3年間で人事制度改革、教育体系構築・研修講師、中途採用、女性活躍推進、MVVの浸透、ジョブローテーション制度設計、サクセッションプラン調査、労働生産性向上、人件費コントロール、規程類改定などを主導。

フリーランス活用の成果について

M.Nさんにはどのようなミッションと役割で入ってもらいましたか?

北村さま:事前に高橋さまとすり合わせた内容で推進いただいています。大きくは、個別異動を制度設計していくためのPM的な役割を担っていただいています。

論点を整理し、当社の課題を言語化して資料化し、部長を含めてミーティングを重ねながら要点を詰め、アウトプットを形にしていただいています。

作成いただいた資料は制度説明会や現場マネジャーへの説明・調整に活用しており、次年度の本格展開に向けてナレッジとして蓄積していく位置づけです。

論点整理・資料化など、どのようにプロジェクトを前に進めましたか?

北村さま:まず論点を出していただき、どこが当社の課題なのかを整理しながら言語化・資料化していきました。

ミーティングでは、こちらの状況や意見を踏まえて要点を詰め、説明や調整に使える形に落とし込んでいただいています。結果として、制度説明会や現場への展開にそのまま転用できるアウトプットが残り、当社の中で「アセット」として蓄積できています。

M.Nさんの支援で、特に価値を感じた点は何ですか?

北村さま:非常に論理的で、資料構成も説明も分かりやすい点です。こちらが「あれもこれも」とごちゃっとしているところを整理してくれます。

また、異動施策の経験もあるので、注意点やリスクを事前に示していただけて、リスクマネジメントの観点でも非常に頼れるパートナーだと感じています。加えて、単なる異動施策に閉じず、経営アジェンダも意識したアウトプットや振る舞いをしていただける点もありがたいです。

第三者だからこそ「もう少しドライに設計してもよいのでは」といったコメントももらえており、議論の壁打ち相手としても心強い存在です。

オンライン中心でも、プロジェクト推進は問題ありませんでしたか?

北村さま:問題ありません。実は対面で一度もお会いしておらず、ずっとオンラインですが、それでも支障なく推進できています。

フェーズによって進め方は変えており、第3クオーター頃は週次でやり取りしていましたが、制度がいったん落ち着いた現在は、次年度の全社展開に向けたレビューと企画を進めるフェーズとして、隔週で状況共有と整理を行う形になっています。

成果と現在地、今後の展望について

初年度の成果を、どのように評価されていますか?

北村さま:取り組んでいるテーマが異動施策なので、参画してすぐに効果が出る類のものではないという前提があります。

そのうえで大きな成果としては、上司承認不要の手上げによる個別異動は当社として初めての取り組みであり、新しい異動施策として企画し、制度として実装できたこと自体が成果だと捉えています。

M.Nさんの支援があって実現できた部分は大きく、まずは「チャレンジし始め、仕組みとして動かし始めた」ことに意味があると感じています。

認知度やエントリー状況を、現時点ではどう見ていますか?

北村さま:定量的な数値は内部資料で把握していますが、認知度はそれなりにあります。社員にとってインパクトが大きい施策なので、現場マネジャーからも「みんな知っている」といった声は聞こえてきます。

一方で、エントリー数は当初想定より少ない印象です。社員が受け身で様子見になっている面もあり、現時点では「認知は進んでいるが、行動はこれから」という状態だと見ています。

中長期で、どんな風土変化を目指していますか?

北村さま:目指したいのは、志を起点とした異動施策が、社員にとってもっと身近になる状態です。時間はかかると思っていて、5年、あるいはそれ以上のスパンで捉えています。

具体的には、現場マネジャーが自組織を魅力的に伝え、人材を主体的に獲得しにいく風土をつくりたいですし、社員側も「こういう組織があって、自分はこういう志があるから行きたい」と選択肢が広がる状態をつくりたいと考えています。

他社では同様の施策を10年ほど続けるなかで、異動を織り込んだ人員計画を立てたり、人材獲得に動く文化が根付いた例も聞いており、当社でも継続することで風土を変えていきたいと考えています。

次年度の全社展開に向けて、今後どのように進めていきたいですか?

北村さま:次年度に向けては、今回の取り組みのレビューと、全社展開に向けた次年度企画を並行して進めているところです。

フェーズとしては毎週詰める段階ではないので、現在は隔週で状況を共有し、論点を整理してもらいながら進めています。体制や予算面の調整はありますが、全社展開にあたってはM.Nさんに引き続き頼りたいと考えております。

また、M.Nさんのスキルセットであれば、個別異動以外の制度・仕組みテーマでも支援いただく可能性があると感じています。

フリーランス活用という手段について

貴社にとってフリーランス/プロ人材活用とは、どのような位置づけですか?

北村さま:人的資本マネジメント部にも多様なメンバーはいますが、スキルセットや経験としてカバーしきれない領域はどうしても出てきます。フリーランス/プロ人材活用は、そうした部分を補強・補完できる仕組みだと、今回あらためて実感しました。

キャリア採用も進めていますが、間接部門の人員をいたずらに増やすのは難しい面もあります。当社は業績が悪いわけではありませんが、高い目標を達成するにはスタッフ部門の効率化も必要です。そういう意味でも、外部のパートナーに伴走してもらう形は有効だと感じています。スピード感や費用感も含め、当社の状況を踏まえたときに選択肢が広がったことは大きいと感じています。

これから活用を考えている企業へ、メッセージをお願いします

北村さま:初めての取り組みほど「内製化しないと」と考える会社は多いと思います。ただ、初めてだからこそ外部の経験者に入ってもらうことで、リスク管理や企画の進め方など、多角的な観点からアドバイスをもらえます。

リソース補強という観点だけでなく、新しい取り組みだからこそ、思い切って外部パートナーを活用する価値は大きいと感じています。

制度を構想で終わらせないために。外部プロ人材と伴走するという選択

BIPROGY株式会社さまは、SIを基盤としながら成長領域へのシフトを進めるなかで、人材戦略を構想だけにとどめず、実行力をもって形にしていくことが求められていました。そのなかで初のトライアルとして挑戦したのが、上司承認不要の手上げ型異動施策「ココツイ異動」です。

背景には、社内のケイパビリティだけでは対応しきれない専門性や、推進スピードに対する課題がありました。制度設計を前に進めるためには、論点を整理し、資料に落とし込み、リスクを事前に洗い出していく推進役が必要だったといいます。外部プロ人材の伴走は、その不足を補うための合理的な判断でした。

初年度の成果は、短期的な数値だけで評価できるものではありません。それでも、新しい異動施策として企画し、制度として実装できたこと自体が大きな到達点でした。制度を止めずに動かし始められたことにこそ、意味があります。

制度改革は、一度立ち上げれば終わりではなく、継続によって風土へと根づいていくものです。必要な専門性を外部から取り入れながら社内と伴走するという選択は、人的資本経営を実装フェーズへ進めるための有効な一手となり得ます。本事例は、その現実的なアプローチを示しています。

今回の事例のソリューションサービス

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