2024年09月24日

ITプロパートナーズ、エンジニアの生成AI活用実態を調査。約9割が仕事の代替を意識も、対策は不十分。40〜50代が高いAI活用意欲。20〜30代の半数は「活用する気なし」

フリーランスプロ人材マッチングのITプロパートナーズ(https://itpropartners.com)を運営する株式会社Hajimari(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:木村 直人)は、ITエンジニア300名を対象に、エンジニアのAI活用に関する実態調査を実施しました。

調査サマリ
・40〜50代の生成AI活用意欲20〜30代を上回る、若手の半数以上は「活用する気なし」
・年収1,000万円以上では約60%が活用、年収400万円以下は20%を切る
・約9割のエンジニアがAIによる仕事の代替を意識、しかし具体的な対策は不十分
・職種別では機械学習エンジニア(54.55%)とITコンサル(50%)が最も高い活用率
・生成AI活用者の約9割が業務への効果を実感、約36%が1日2時間以上の作業効率改善

生成AIを業務に活用している人は、約29%に留まり、41%の人は現状活用を考えていないことがわかりました。年代別の分析では、世代ごとに活用率に大幅な違いはありませんでしたが、生成AIの活用意欲に関して大きな差がありました。40〜50代の中堅・ベテラン層の36.26%が「活用したいが、活用できていない」と回答しており、20〜30代の若手層の17.81%を大きく上回っています。中堅・ベテラン層のエンジニアが生成AI活用に強い関心を持っていると判明しました。

また、20〜30代の52.05%が「活用する気は今のところない」と回答しており、これは、従来の「若手ほど新技術に積極的」という認識を覆す結果であるといえます。年収別で見たところ、高年収層は生成AI活用率が高く、年収1,000万円以上では約60%が活用している反面、年収400万円以下では著しく活用率が下がり、20%を切ることがわかりました。

「生成AIを活用している」と答えた人のみに活用シチュエーションを聞いたところ、「調べ物・問題解決」が最も多く、次いで「データ分析・可視化」、「コーディング」が続き、幅広い業務で活用されていました。また、約7割が成果物の2割以上で生成AIを利用しており、生成AIを活用している人は、業務への浸透が進んでいることがわかりました。

生成AI活用者の約9割が期待通りまたはそれ以上の効果を感じており、約36%が1日2時間以上の作業効率改善を報告しています。生成AIが実際の業務改善に大きく貢献していることがわかります。

一方で、生成AIを導入すると、新たな課題が生じることもわかりました。成果物の品質維持や新たな学習負担、既存システムとの統合の難しさなどが挙げられています。これらの課題に対する適切な対策が整えば、さらに業務改善が進むと考えられます。

生成AIを活用していない理由としては、「業務遂行に必要ない」「セキュリティリスク」「信頼性への不安」が上位に挙がっています。しかし、約56%のエンジニアが生成AIに興味を持ち、学習意欲を示しており、今後の普及拡大の可能性を示唆しています。

「何があれば生成AIを活用するか」の回答から、企業側の生成AI導入に対する姿勢にも課題があることが推測されました。「業務上の必要性」(24.7%)や「会社の方針など強制力」(11.8%)を求める声が多いことは、多くの企業が生成AI活用に関する明確な方針や具体的な導入計画を示せていない可能性を示唆しています。

また「具体的なAI活用事例や成功事例」を求める声(18.5%)が多いことや、「周りが使い始めたら」(7.8%)という回答も一定あることから、まだ生成AIに対して様子見のエンジニアが多いと考えられます。

最後に、活用有無問わず全てのエンジニアに、生成AIに「仕事が奪われるか」を質問しました。約9割のエンジニアがAIによる仕事の代替を意識していますが、具体的な対策を取っている人は限られています。現状「認識と行動のギャップ」が起こっています。多くのエンジニアが変化の必要性を感じつつも、具体的な行動に移せていない現状を浮き彫りにしています。

本調査に対する考察

「生成AI元年」、2023年を経て、2024年は生成AIの具体的な導入フェーズに入っています。

生成AI技術との親和性が高いITエンジニアでも、実際に活用しているのはまだ3割程度に過ぎないという意外な結果が判明しました。

一方で、ITプロパートナーズへいただくご相談では「生成AIを活用できる人材」を求める声が増え、報酬も通常より高い傾向が見られます。生成AI活用スキルは、今後エンジニアの年収を左右する重要な要素と予想できます。

また、企業が生成AI活用による業務効率の向上を実現するには、具体的な業務への組み込みや教育環境の整備など、会社主導の明確な方針策定が必要です。

そして、これらをいち早く整えた企業は、人材獲得競争が激化する中でも、最新技術に興味を持つエンジニアの採用において有利になるでしょう。

本調査結果を踏まえ、ITプロパートナーズは生成AI時代におけるエンジニアのキャリア支援と、企業の生成AI活用による競争力強化に積極的に貢献してまいります。

株式会社Hajimari代表取締役

木村直人

早稲田大学卒業後、大手損害保険会社を経て、株式会社アトラエ入社。成功報酬型求人サイト「Green」の立ち上げから関わり、仕組みを作る。その後人材系のベンチャー企業に参画し、取締役COOに就任。新規事業としてIT分野のプロフェッショナル人材を活用する「ITプロパートナーズ事業」を立ち上げる。 2015年4月より「ITプロパートナーズ事業」を業務移管させる形で、株式会社ITプロパートナーズ(現:株式会社Hajimari)を創業。代表取締役に就任。

■調査概要

調査概要:エンジニアのAI活用に関する実態調査
調査方法:インターネット調査(QIQUMOを利用)
調査時期:2024年9月
有効回答:エンジニア300名
年齢:20〜29歳 9.7%、30〜39歳 14.7%、40〜49歳 26.7%、50〜59歳 30.3%、60歳以上 18.6%
年収:200万円未満 5.3%、200万円以上400万円未満 15.7%、400万円以上600万円未満 32.3%、600万円以上800万円未満 25.0%、800万円以上1,000万円未満 11.0%、1,000万円以上1,200万円未満 6.0%、1,200万円以上1,400万円未満 3.0%、1,400万円以上 1.7%

≪アンケート利用条件≫
1 調査結果は自由にご活用ください。但し情報の引用元として「ITプロパートナーズ」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、引用元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://biz.itpropartners.com/blog/report/2028/